『ラブカは静かに弓を持つ』読んでみた!ライターの感想

ラブカは レビュー

『ラブカは静かに弓を持つ』ライターの感想

新聞や雑誌の広告で見て気になっていた「ラブカは静かに弓を持つ」。Amazonの欲しいものリストに入れたままになっていたけれど、重版出来!というフレーズを見て、ああやっぱり読んでみようかなと思いました。チェロ×音楽著作権という異色のかけ合わせを題材にした小説、感想をレポートします。

「ラブカは静かに弓を持つ」あらすじ

「ラブカは静かに弓を持つ」は、安壇美緒の小説。

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橘 樹(たちばないつき)は、全日本音楽著作権連盟に勤務する職員。

音楽を使用する際の著作権を管理する団体で、 代わり映えのない毎日を送っていた。

ある時、突然上司に呼び出され、音楽教室の著作権利用に関する裁判について聞かされる。

彼は昔チェロを習っていたという経歴を生かし、音楽教室に潜入捜査として生徒の一人として潜入捜査をすることになった。

ボールペン型の録音機材を持って週1回のレッスンに挑むうちに、忘れかけていたチェロの魅力にどっぷりハマっていく。

だんだんと会社の命令でレッスンに来ていることを忘れそうになるくらいチェロの音色に惹かれていく。

実は彼がチェロを弾かなくなったのは、あるきっかけが原因だった。

人との付き合いも得意ではなく、いつも一人でいるような樹だったが、チェロ教室で出会った人達との交流を持つようになる。

音楽教室VS管理団体との裁判はどうなるのか?樹とチェロの関係は?

王様のブランチでも紹介されたらしいよ!

ラブカは静かに弓を持つ、ライターの感想

さて、クラシックバレエ育ち、音楽一家に育ったライターの私がこの小説を読んで思ったことを書いていきます。

物語の核心を突くような大々的なネタバレはしませんが、少しでも情報を入れたくないという方は読み終わってからまた見に来てください!

樹とチェロ

ある出来事をきっかけにチェロから離れた樹だったが、もう自分の人生の中でチェロを弾くことはないのだろうなと思っていただろう。

それぐらい大きな出来事で、一種のトラウマと言えるかもしれない。

チェロを弾くこと、自分の楽器を持つことなど、チェロに対する長年抱えてきた思いは、もう変わることはないと思っていたのだ。

しかし、音楽教室に勤めるチェロ講師である浅葉桜太郎と出会い、チェロとの関係性が変わってゆく。

音楽教室のホームページには、輝かしい経歴を載せる講師たちが多い中、「ハンガリー国立リスト音楽院卒業」というそっけない プロフィールを掲載している、ちょっと変わった印象の浅葉。

彼の人間的な魅力に惹かれていったのではないかなと思った。

信頼できる人に悩みを打ち明けられるという関係性

信頼できる人に、長年抱えてきた悩みを打ち明けた時、意外とあっさりした一言でバッと解決したことはないだろうか。

「あーそんな簡単なことを言って欲しかったんだ」

「どうして自分で気づかなかったんだろう」

「この問題は解決できないと思い込んでたのかな」

など、自分で考えすぎていただけで、実はちょっと思考を変えるだけで解決に向かうことだったりするのだ。

なのに、深みにはまってもう絶対に無理なんじゃないかと思うことは、まぁ日常に多く存在する。

闇雲に色んな人に悩みを話したところで解決するわけではないけれど、信頼できる人に話す事ってすごく大切。

樹は夜なかなか寝付けず、不眠外来に長年通っているがそこでは自分のすべてをさらけ出すことはなかった。

動悸やめまいでカウンセリングにも行ってみるが、劇的な変化はない。

しかし、彼のトラウマに関する解決の糸口を見つけたのは、ある人の一言だった。

なかなか自分の気持ちを整理して人に話すって難しいけれど、ため込むのはマジで良くないと最近実感している。

私はけっこう人から相談を受け、こうじゃないとか、ああじゃないってアドバイスすることがある。

しかし自分自身の悩みは、わりと溜め込みがちだ。

家族や友人は私のその性格をよく理解しているので、爆発する前に話てねとか、最近どうなの?と気にかけてくれる。

思い悩んで落ち込んでしまうわけではないんだけど、小さなトゲが心の奥に引っかかったまま、それがちょっとずつちょっとずつ溜まっていき、突然ハリネズミのように針だらけの自分に気づく。

生け花の剣山のように、ずらっと並んだ針を目の当たりにして初めて「ああ、いっぱいいっぱいだったんだな」と気づくのだ。

今はだいぶ自分のことを理解してきたのでそんなにハリネズミみたいになることは少なくなったけど、若いころは気づくとハリネズミになっていたと思う。

樹のように、暗い深海の中をずっとさまよっていても、あるとき突然、霧が晴れるように目の前が明るくなることがある。

ハリネズミ

それには、あきらめないでいろいろなことに挑戦することが必要なのだなと思った。

まぁ、ハリネズミみたいにどん底になっているときは、そんな余裕はないのだけれどね。

全編を通して静かにクラシックが流れているが、突然フォルテッシモが入る、そんな小説だった

私は母はピアノ教室主率、叔母は中学音楽教師、従妹は声楽家、祖父は紅白歌合戦とかのパーカッション奏者と、音楽がいつも身近にある環境で育った。

私自身、ピアノは習っていたけれど楽譜を読むのが苦手という…。

クラシックバレエに夢中だったので、いまでもクラシック音楽を聴くとなんだか落ち着く。

だからといって詳しいわけでないけれど、このラブカは静かに~を読んでいる間、ずっとチェロのクラシック音楽が流れているようだった。

どんな曲とはわからないのだけど、チェロの低いメロディがずっと遠くで鳴り響いているような。

著者の文章力なのか、私の単なるイメージなのかは分からないが、心地の良い一冊だった。

しかし、小説の中にはフォルテッシモ(とても強くという指示の音楽用語)が入る。

何も事件が起こらないわけではなく、ちょっとしたスパイ映画さながらの手に汗握るシーンもないことはない。

ただの音楽を題材にした小説とあなどるなかれ。

読み終わった後のあなたは、昔熱中した趣味を再開したくなるはずだ。

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