長谷川圭一さん「便女神」のネタバレ感想【小学生ママが読んでみた】

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長谷川圭一さん「便女神」のネタバレ感想【小学生ママが読んでみた】

 

仮面ライダーシリーズやウルトラマンシリーズの脚本家として活躍されている長谷川圭一さん。自費出版でオリジナル小説を販売されたということで買ってみました!小学生ママ目線で読んだネタバレを含む感想を書いていきます。

長谷川圭一さんとは?

長谷川圭一さんは特撮やアニメの脚本家

ウルトラマンティガ・ダイナ・コスモスなど平成ウルトラシリーズや、仮面ライダーW・フォーゼ・ドライブや現在放送中の仮面ライダーセイバーなど、特撮の脚本を多く執筆されています。

また、『SSSS.GRIDMAN』(グリッドマン)や『SSSS.DYNAZENON』(ダイナゼノン)、ゲゲゲの鬼太郎などアニメの脚本も書かれています。

元子役ライターである私・宇野あゆみが子役時代に出演した、
劇場版 ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET ムサシ(13才)少年編」の脚本家さんです!

長谷川圭一さんのオリジナル小説「便女神」出版!

Amazonでポチっと購入!

文庫本なのでお値段はお手頃です。

しかしながら届いてびっくり!分厚い!

読み応えありです。

小学生・中高生のティーンズにもおすすめしたい小説。

切通理作さん主催「長谷川圭一さんと斉藤麻衣ちゃんの読書会」に参加

ネオ書房の切通理作さんが素敵なイベントを開催してくださいました!

約20年ぶりに斉藤麻衣ちゃんにも会えて、長谷川さんの脚本や小説にかける思いなど、貴重なお話を伺えました!

第一線でご活躍なさっているプロのお話は学ぶべきところが多く、俳優としてもライターとしても大変勉強になりました!

「便女神」ネタバレ感想

それではここから「便女神」のネタバレ感想を書いていきます。

まだの方は読み終わってからどうぞ!

「便女神」あらすじ

昔から緊張すると謎の腹痛に襲われる瀬戸口光。おかげで入社試験は連戦連敗、最後の望みを掛けた面接にも失敗し、将来に絶望した光は偶然飛び込んだ公園の公衆トイレで更なる厄災に見舞われる。“便所神”と名乗る若い女の霊に取り憑かれてしまったのだ。

Amazon商品ページより

トイレ!?女神!?タイトルで「え?」と思わせ、あらすじで「どんな話なの・・・」と気になってしょうがなくなる「便女神」。

ファンタジーなの?

幽霊物?

ホラー?

読み終えてみると、どれでもありませんでした。

あえてどのジャンルの話ですか?と聞かれたら、

ファンタジーの表紙をした、社会派小説と答える。

  • 虐待
  • 過去のトラウマ
  • 通り魔事件
  • ステップファミリー
  • 猟奇殺人

など、便女神で描かれる社会問題と言ったらこれだけある。

子育て真っ最中のママ目線で読んだ感想をまとめました。

「便女神」ハナって

「便女神」の魅力は、その魅力的なキャラクター達にある。

主人公・光に寄り添う便女神「ハナ」は、優しいお姉さんであり、時に厳しいお母さんでもある。

ハナは光に宿題を出すけれど、答えは出さない。

光に考えさせるというところは、子育ての基本に通じるところがある。

全部教えることは簡単だし早いけれど、「考える」というクセを付けさせなければのちのち苦労するのはその子。

失敗したら「お母さんが言ったとおりにやったのにできなかった」と人のせいにするだろうし、
いつも教えてもらっていたのに自分で考えなさいと突き放したとしても「教えてくれなかったからできなかった」と言われるだろう。

光るが答えにたどり着きそうになっても、「そうだよね!」と言わずに、「そうかな?こういう可能性もあるよね。調べてみて」と、常に別の可能性もあるということを示唆し、光の思考を狭めないようにしていると思う。

私は今小学生の娘と息子がいるけれど、子どもたちにはハナのように接している。

「自分で考えることをサポートする」というのが、親として子供にしてあげられること、だと思うのです。

ハナは、ずっとずっと光を見守ってきたからこそ、

  • 光に成長してほしい
  • 人生諦めてほしくない

と思って宿題を与え、覚醒させようと決めたのだと思うし、

それには「覚醒せよ!」とただ言うだけでなく、

「自分で考えて過去にたどり着いたうえで、覚醒する」

というプロセスを踏むことが、光の成長に必要だと思ったんだろうね。

「便女神」利加子の思い

第二の遊園地での霊魔事件で登場した「利加子」の悲しみは、涙なしには語れない。

彼女の苦しみは

お腹に宿った命に対するパートナーの反応から始まった。

愛する人と共に描いた新しい命との未来は幻想で終わり、そこから悲劇が始まった。

利加子は清掃のパートをしてきたということしかわからないが、ここにも「非正規」という社会問題がひっそりと描かれている気がする。

「おなかの中で死んでしまったから人間として認められなかった」という利加子の悲しみは、妊娠経験者として痛いほどわかる。

だって、お腹の中で生きていたのは本当だものね。

利加子は、傷つけられた自分の肉体ではなく、お腹の中にいた子供を失ったことをずっと抱えていた。

事件時に、法律的・手続き的に人間と認められなかったとしても

その時、真剣に一緒に悲しんでくれる人がいたらどうだっただろう。

利加子の憎しみはここまで増加しなかったかもしれない。

霊魔にも出会わなかったかもしれない。

パートナーであれ、友人であれ、家族であれ、誰かがそばで寄り添っていれば、こうはならなかったかもしれない。

「孤育て」と言う言葉で、主に母親が孤立することが問題になっている。

しかし、妊娠時に孤独であってもいけないのだ。

自分以外の生命が日々育っていくという信じられない自分の体と向き合い続けるには、体力と精神力が必要だ。

たった一人で出産した高校生のニュースなど見るたびに、力になれる人はいなかったのだろうかと思う。

私はこの部分を電車で読んで、ぽろぽろ泣いてしまった。

電車で読むことはおすすめしない。特に妊娠経験のある女性は!

「便女神」光のこと

投げやりだった光が、自分で行動して、自分の力で覚醒してハナを守った。

その成長は、まるで子供の成長の様で胸が熱くなった。

「人はね、なりたいものになれるんだよ。なりたいって強く願えば」

便女神 p.327より

ハナのセリフは、光を覚醒させた。

光に宿題を出すたびに、ハナは「あなたにしかできないんだから」と、毎回言っていた。確かにあの時あの場にいてハナに守られた光にしかできないことだった。

光が、ハナの魔法で何でも出来た。

実は魔法ではなく、潜在能力だったのかもしれないね。もしかしたら。

 

「便女神」感想まとめ

「便女神」は、ファンタジーであり社会問題に切り込んだ小説だった。

自分では何者でもないと思っていた人生諦め半分の光が覚醒した。

わたしたちにもチャンスはあるのかもしれない、と、希望をもたせてくれる物語だった。

次にハナと出会うのはもしかしたら私かもしれないよ。

いつか覚醒するときのために

ハナとの出会いで光はどう変わったのかの続きが見たい。

死神のカードの意味は「終わりとはじまり」だから。

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